ほぼ観劇記録。

情報収集癖とネタバレ御免。

観劇『リチャード三世』

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『リチャード三世』@プレイハウス 観劇日10/24

【作】ウィリアム・シェイクスピア 【翻訳】木下順二
【演出・上演台本】シルヴィウ・プルカレーテ 【演出補】谷賢一
【出演】佐々木蔵之介 手塚とおる 今井朋彦 植本純米 長谷川朝晴 山中崇 山口馬木也 河内大和
    土屋佑壱 浜田学 櫻井章喜 八十田勇一 阿南健治 有薗芳記 壤晴彦 渡辺美佐子
    子役(Wキャスト)松本拓海 小薬英斗 石田星空/兒玉拓真 塙智成 福島歩友

   王位をめぐるランカスター家とヨーク家の争い(=薔薇戦争)の渦中、15世紀イングランド
   ヨーク家・王の弟で、野心家のリチャードは、自身が王座を得るために、知略の限りを尽くし、
   残虐非道な企みに手を染めていく。
   そして、自らが殺したランカスター家・ヘンリー六世の王子の妻・アンをも手に入れてしまう。
   友、先王の息子、王妃、実の兄でさえも厭わず手にかけ、
   邪魔な人間を次々と葬り去ったリチャードは、
ついに王座に上り詰める。
   そして、さらなる策略を企てる矢先、反乱が起こり軍勢に攻めこまれてしまう。

   最後に彼を待ち受ける運命とは…。

 
すっげ!!
シルヴィウ・プルカレーテすっげ!!

って、観終わった後すぐはこんなあほな感想しか出てこなかった・・・
けど、いやいや、すっげーの。シルヴィウって言いにくいけど。
ルーマニアの鬼才プルカレーテさん。お初でしたが、すごかった。斬新!!
ぶっ飛んでんなーと思ったけど、やっていることは結構シンプル。でも斬新!軽さと重さが絶妙。
残酷だし悲しいのだけど、クスクス笑ってしまった。おもしろかったな。

こんなリチャード三世観たことない!!!!!
って他のでなんとなく知っているだけだけど、こんなリチャード三世はないなと。
ただ、結構いろいろと端折っているから、何も知らないと置いていかれそうになるかな。
戯曲のセリフは一切変えず、約1/3カット!
からの、稽古でセリフカット!ト書きカット!キャラカット!らしいので(パンフより)
途中ポカーンとしちゃうとこもあったりなかったり。え!?これ何??って。
でも、すっげ!ってなる。
わー!これ好き!!な演出と、うーーんこれは・・・な演出と色々あったけど
結果・・・すっげ!!ってなる(残念語彙力)観て損はないかなと。

プルさんによれば
「英国人のシェイクスピアの作品を、ルーマニア人である私が演出して、日本人が日本語で演じる。
その時点で既にこれは、いわゆる純粋なシェイクスピア作品ではないのです」ってことなので。

【リチャード】といえば醜男だけど、蔵さんが演じると聞いたときには
えースタイルよいからどうすんのよ!?って思ったけど、こうくるか!!
短い杖を使ったり、ハイヒールを片足だけ履いて足の長さを変えたり
この片足ハイヒールがヤヴァイ・・・
せむしやお腹が出た姿のときは中に何か入れてる感が強かったり・・・出てくるたびに姿が違う。
最初なんて、はだけた白シャツに黒のパンツでそのまま出てきたから
スタイルの良さにうっとりしちゃった。
見る人によって捉え方が違うってことなのかな?と勝手に思ってしまったけど・・・
パンフレットによるとリチャードは【本当は太陽のような人なんだけれど道化を演じていて、
周囲をだますための策略として障害者を演じている…】だそうな。ほほう。なるほど。
歌うし、マイクで囁くし、叫ぶし、食べるし、飲むし、後半ほぼ半裸だし
目はいっちゃってるし、最高か!!

今回はほぼオールメール。唯一の女性は男性役。その中でも女性役の4人が印象的だった。
衣装以外はそのままなのにちゃんと女性で。
かといって女性らしく見せ過ぎてもいなくて。誰もがそれぞれに美しかった。

【アン夫人】手塚とおるさん
何だこの細さは!!腰とか足とか、ほっそ!ほっそ!
顔を白く塗り、チークと口紅くらいで
カツラはつけずそのままとおるさんなのだけど、アン王女だった。

【マーガレット】今井朋彦さん
生きているのか死んでいるのかわからない・・・呪って呪って呪う役。
不気味な中に美しさが・・・でも演出家からすると近所の迷惑おばさんのイメージだそうな。
膝上のスカートとデニールの低い黒いストッキングが素敵。

【エリザベス】植本純米さん
所作が綺麗なのはわかっていたけど、美しかった。若さも感じるからさすがだなと。
スキンヘッドのおじさんなのにね(コラ!!)
息子役の子とのやりとりも自然で、本当に産んだんじゃないか?と思うほどに。

ヨーク公夫人】壤晴彦さん
壤さんが夫人!?夫人でした!!突然の野太いいい声にゾワっと。

他にも、【クラレンス公】長谷川朝晴さん
縛られるし、水に沈められるし、やりたい放題やられまくって大変!!
2階席からだとどう見えるのか気になる。

【バッキンガム公】山中崇さん
蔵さんとのシーン・・・R指定だな。段々とリチャードに陶酔していく姿がよかった。
それに対しリチャードが離れていくんだよね。もー

【ケイツビー】河内大和さん
とってもいい声で、立ち振る舞いもかっこいいの。体の使い方とか綺麗だったな。
浜田学さん演じる【ラトクリフ】とともにリチャードの腹心で
やっていることは残虐的なのだけど、なんか妙に気になるキャラクター。
カクシンハンという劇団に所属している方で、以前リチャード役を演じたそうで、観たかったなー!!

唯一の女性で男性役【代書人】の渡辺美佐子さん
登場人物とは関わらず、ただただ外側から見ているようで、シェイクスピアなのかな??
髭面で出てきたとき一瞬わからなかった!!

リチャードは「悪魔か 道化か 狂人か・・・」
王冠と玉座を手に入れるために、敵味方関係なく身内だろうが愛してくれた人だろうが
騙して、殺して、騙して、殺して・・・残虐非道な人間。
なのにとても魅力的なんだよな。本当に酷いんだけど。

あと、亡霊の夢にうなされる戦場のシーンが、まさかのミュージカル。
亡霊たちがそれぞれに歌い上げるのだけどくり返し歌われる
「この世に思いを絶って死ね」は、リズムも込みで頭の中をグルグルと。
亡霊だけど、怖いというより何だか楽しそうで、発声可能公演とかあったら一緒に歌いたくなるやつ。
拳振り上げ「この世に思いを絶って死ね」って歌いたい!!

東京公演は終わってしまったけど
大阪11/3~11/5→盛岡11/8→名古屋11/15 と、まだ続くよ~♪

はあぁぁぁやっぱり舞台の蔵さん最高だな!!(もちろん他でも素敵なんだけど)
舞台に立ったときの輝きがね。舞台の人だな~と思わされる。
思い返すと・・・ここ数年ずっと蔵さんの上半身裸な姿観ているな。フフフ。

次も楽しみ。フフフ。